旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
旧事本紀研究会
今日のふるごと -64-

仁者は人を悪(にくま)ず。人を悪むは仁に非ず。豈ぞ唯に人と為て之を為さむ乎と。悪む心は己の気に残る。己の気に残り而還って悪まれ、また避けられるに因って為、己を悪む爾(のみ)。夫(それ)仁者の人を悪むは憎慍の心に非ず。其の不仁を悲しみ、其の不義なるを嘆き、其の憂へ、哀しむの心を悪むが如し。之れ、仁の實、綿然として露れず。義者の義に非ず、荒如として相(とも)に表れる若し。

「御語本紀」より

仁者というものは何事も人に求めず、すべてを己自身に求めるものである。人を悪く思い憎めばその思いは残り、それによって禍を呼び、人に避けられもする。己を省み、責め克つことにより仁は仁たり得て礼となる。
仁者が人を悪むのは人への憎しみ恨みではない。己の情に克つことができずに迷う心を悪み、その義(ただし)からざることを悪み、晴れ晴れとした気持ちになれず、憂いの疾(やまい)から離れ難いことを悪むのである。これが仁の實であるがはっきりと表からは見えるものではない。義しき者の義のようではなく、はっきりしないままその都度に必ずそうなる春夏秋冬のようなものである。

会員ページ

旧事本紀研究会の会報バックナンバーを会員限定で公開しております。

会員ページへアクセス