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今日のふるごと -75-

昔の人は孝を忠に代えて父に依れり。是れ實の善なり。今の人は忠を孝に代えて君に依れり。是れ善の虚なり。寡人(われ)、天皇に代わって万機を摂め假使(たとひ)人有って、寡人の政命に服して寶を拌(す)て、家を拌て、身を拌て、孝に代えて之を為すに忠(つかうる)も何を之入れ納れむ乎。斯くの如き忠を名づけて元を失いし忠に實無しと為す矣。何ぞ先公の清實の忠の中に内む乎。

「御語本紀」より

太子の忠孝の理念に対し揺ぎ無き誨である。
昔の人の〜この昔とは平和時から戦争(干伐)に明け暮れていた頃を指すが、ここではそのまま過去の時はということで孝を主とし忠は從であることをいう。昔は第一に父に孝を尽くしたが、今は君に忠実を尽くすという変わりようだ。万機は政治の意、拌は損棄てすることであり、また二分の一に裂くことの意味がある。どんなに誠で忠実であろうと、親不孝者は側近にはしないと云うのである。それは政道の善を破るからである。かようなものを忠と呼ぶには實が無い、どうして誠実の内に入れられようかという。不孝に対しての姿勢を示され、孝の大切さを誨られている。
主人の前で忠実であることはあたりまえのことでありいわゆる立身出世の道でもあろうが、だがそれが親不孝者ならばをいかに忠実に服して勤めようとも人として忠実とはいえない。かような者は政道を正しく行うことはできない。よって採らないと、太子はご自身の鉄則を言われた。太子の鉄則は万機、万人への教えである。

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